2011年5月30日

関口良雄著「昔日の客」を読んでみました

関口良雄著「昔日の客」を買ってみました、個人的にこの本を出版した会社がとても興味深いなと思うので、まずはそちらから書いていきたいと思います。

この本を出版した出版社の「夏葉社」は島田潤一郎さんという方が立ち上げた出版社で一人で切り盛りしているといいます、目標として本を買った人が何度も読み返す本を作っていくことが目的で、この出版不況と言われる中、ここ2~3年で創業した出版社だという(そうした創業した経緯なんかはこちらのサイトの方にに書いてあります)、(ちなみに夏葉社のTwitterのアカウントはこちら)

この本は昭和20年代後半から昭和50年代前半頃まで東京都大森にある古本屋山王書房の店主であった、関口良雄さんが主にその古本屋であった出来事などを書いた随筆集(今風に言えばエッセイですね)で、昭和53年(1978年)に著者の還暦祝いとして三茶書房から著者の没後(結腸ガンにより惜しまれつつも出版の前年に死去)に出版された物で、今現在出版されているのは同名の著から、旧仮名づかいから現代仮名づかいに変え、32年ぶりに前述の夏葉社から復刊された物です。ちなみにこの山王書房という古本屋には尾崎一雄、野呂邦暢といった当時の著名な文学者も度々訪れていたということみたいです。詳しい事はこちらのサイトを参考になさってください。

この本を手に取ろうと思ったきっかけは、ロックバンドGOING UNDER GROUNDのボーカルの松本素生さんがTwitterでこの本のことをものすごく褒めていたからですね、実はこの本が出る前からこの本を出した夏葉社の存在を知っていて、その出版社の出す本にちょっと興味があったのですが、装丁と帯に書かれたコピー「古本と 文学を愛する すべての人へ」と書かれたデザインを見て、日頃そんなに本を読まない私には、ちょっと敷居が高いかなと思っていたのですが、そのつぶやきを読んで、そこまで敷居が高くはないのかなと思って、オンライン書店のBK1に書かれたレビューや情報を読んでみてこの内容ならちょっと読んでみようかなと思って読んでみることにしました。

読んでみた感想は、うーんちょっと悩んでますけれども書いてみますね、
ここに書かれた話は、良くある小説や映画の様に劇的な物でもなく奇抜な物語ではなく、少し変わった出来事ではありますが、私たちの周りでも起こりうる話で(無論時代や置かれた環境が違うとか言われそうですが、基本的にここで書かれている出来事は時代や場所が変わっても起こりうる普遍的な出来事でありますね、うん)、そうした出来事が淡々と書かれていて、そうした面が読んでいて少し刺激が足りないとかそういう風に取られてしまいかねないなとも思えるのですが、読んでいると筆者の文章のお陰かな、不思議と心がほっとして、何度かじっくりと時間を掛けて読み返したいなと思えるそういう文章でありますね。

この本が名著かどうかは私の中ではちょっとまだ判断が付いていないな、なんか他の人のこの本に対する熱意に負けて、私自身、良い本だと勘違いしているかもしれないし(苦笑)、あとこうした小さい出版社が出している本ですから、他の大手出版社の出しているこの手の本と比較してみると、どうしても若干値段も高めに見えるし、ちょっとに勧めにくい部分もあるけれどもね、けれどもやっぱりこの本は良い本なのかなっていう評価で良いのかな、ちょっとこの出版社の姿勢をみて、まあ私自身この出版社を応援したいなと言う気持ちもあるのでちょっとバイアスの掛かった見方をしているのかもしれませんが。

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